「連理返り」 研究塾 へ 「ようこそ」
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1.「機功図彙」の研究
 まず、「機功図彙」から研究するのが基本であろう。「機功図彙」が入手困難なため、図書館へ出かける。「機功図彙」を見つけるには、少しの努力と運が必要になる。しかし、探り当てた時の喜びは大きい

 「機功図彙」は、首巻、上巻、下巻からなり、次のようになっている。
   首巻・・・掛時計、櫓時計、枕時計、尺時計
   上巻・・・茶運人形、五段返、連理返
   下巻・・・龍門瀧、鼓笛児童、搖盃、闘鶏、魚釣人形、品玉人形

 「連理返り」は、上巻に 7ぺージにわたり記載されている。 資料は
こちら
  「機功図彙」を読む
 「機功図彙」を探り当てた喜びも束の間、新たな悩みが持ち上がった。解説の文章が読めないのである。漢字にはルビが振ってあるのだが、「行書や草書に慣れていない」、「現代の仮名使いと違う」、等が原因である。
 この読み方を研究するのもひとつの楽しみ方である。「これは””という字か?」などと「うんちく」をかたむけていると、なにやら古典文学の研究者になったような気がしてくるから不思議なものだ。
 先を急ぐ小生は、何か現代の技術を使えないかと思案した。OCRソフトを使ってヒントを貰おうと考えたが、うまくいかなかった。パターン認識技術に強い方の出現をまたねばなるまい。
 結論としては、読むことが出来た。「機功図彙」の読み方を、活字で表示されている本に出会ったのである。研究された先生方に感謝し、研究を進めさせていただいた。
  「連理返り」の製作検討
 @.人形本体は、「機功図彙」を参考にする。材料は桐を使う仕様であるが、バルサ材やヒノキ材を使って製作する。
 寸法は、尺貫法をメートル法に換算したが、分からないところもあるので、エイ、ヤッ!と独断で決めた。このため、忠実な再現にはならないので、細川さん、ごめんなさい。
 A.引合棒は、水銀の使用を前提としているが、水銀は毒性があり、使用したくない。鋼球を使うように変更し、引合棒の構造も変えたので「機功図彙」とは全く異なるものになってしまった。
 B.からくり設計を、少し簡単化したいと思い、各要素の重量や重心位置を入力すると回転モーメントなどを自動計算するソフトを表計算ソフトを使って製作した。
 忘れていた2次関数などを久しぶりに使って頭の体操になった。図は回転型人形の重心移動図及び人形移動時の人形、引合棒、重りのバランス計算例である。.
@製作した人形 A製作した引合棒 B計算ソフトの出力状況
たくみ2.匠の技に挑戦
   <その1>
「連理返り」の動きを検討していくと匠の技の素晴らしさがわかってくる。
人形が「前半では上がり」、「後半では下がる」のは何故だろうか
人形が上昇している状態 人形が下降している状態
 
 早い話、何故、垂直になった時に止まらずに回転を続けるのであろうか。

 重りの回転力(回転モーメント)が大きいのだから垂直になった時、止まると思うのだが・・・。

 ここに匠の技が生きている。
   匠の技に挑戦
   <その2>
飛び越す人形の形を「そのまま状態」と「回転型」に選択できる。どのようにするのだろうか。
そのまま状態 回転型
 ここでは飛び越しの方法を取り上げたが、本当の匠の技は、回転の選択に用いる道具にある。

 材料の性質を巧みに活用していることで回転が続くように考えられている。
 3.「連理返り」の原理
 「連理返り」は、大きく分けて「人形」、「引合棒」、「重り」の3つの要素がある。

 重りを移動させ、3つの要素を巧みにバランスさせて、自動的に人形が階段を降りる仕掛け(からくり)になっている。
図の説明
 @の人形は階段の下、Aの人形は階段の上にいる。

 @の赤丸及びAの緑の丸は、人形と引合棒の連結個所で、人形は、ここを回転中心として自由に回転できる。

 Bは引合棒の重心位置と重量、Cは重り(鋼球)の重心位置と重量、DはAの人形の重心位置と重量である。
回転モーント
 @の人形の赤丸を回転中心として、Aの人形が@の人形を飛び越すことになる。
赤丸を回転中心とした時の回転力(回転モーメント)は

 反時計回りの回転モーメント = D*C+B*A
  時計回りの回転モーメント   = C*B
上昇(前半部分)の条件

     D*C+B*A < C*B

 これは、人形Dや引合棒Bによる反時計方向の回転モーメントが、鋼球Cによる時計方向の回転モーメントより小さいことが必要であるという意味である。
下降(後半部分)の条件

     D*C+B*A > C*B

 これは、人形Dや引合棒Bによる時計方向の回転モーメントが、鋼球Cによる反時計方向の回転モーメントより大きくなることが必要であることを意味している。
 後半部分は、人形Aが人形@を飛び越しているので、回転方向が変化している。
何故回転が続くのか? 匠の技<その1>の研究
@引合棒が垂直より超えて停止 A引合棒が垂直より手前で停止
 写真は、飛び越し側の人形を外して、フリーにした状態である。@、Aとも人形を後ろの方から見ている。

 @の方は、人形の前方に傾いており、Aは手前で止まっている。

 この違いはどこから出てきたのであろうか。
      
 この秘密は、人形と引合棒の取付け方にある。

 この項の初めの図面のように取付けた時は、@のようになり、人形と引合棒の取付け方を逆にするとAのようになる。

 もう匠の技が分かったと思うが、人形は引合棒の中心には取り付いていない。片側が上で、片側が下に取付けてある。

 これが、この「からくり」の最大の技である。
 この中心に取付けていないことが、上昇するモーメント、下降するモーメントを巧みに制御するのである。
 図によって説明しよう。

 回転中心が真中にある場合は、重りが垂直位置に来た時、回転モーメントはゼロになるので、回転はそこで終わる

 人形がついていても、同じ垂直位置になるので、真中に取り付けた場合は、これ以上の回転は生じない。
 
 赤丸のように、引合棒の下に回転中心があると、重りが回転中心の垂直位置に来るのは、引合棒が垂直を通り越した時となる。

 人形がついていると人形にはCの距離ができるので、回転モーメントが発生する。このため、回転がそのまま続くことになる。

 これが「匠の技」の原理である。

 赤丸が引合棒の上にあると重りの垂直位置への到達が早くなるので、手前で停まる事になり、回転は続かない。(説明は省略します。)
飛び越しの型が「そのまま型」と「回転型」に選択できる技の研究 匠の技<その2>
 「そのまま型」は、人形をフリーにしておけばそのまま飛び越すのでこれは匠の技でもなんでもない。では、「回転型」はどのようにするのであろうか。
左の写真を見て頂ければ分かるとおり、人形同士を糸で結んでいる。

糸を外せば「そのまま型」、糸をつなげば「回転型」になる。なあんだ!と思われるかもしれない。

しかし、面白いのはこの連結が「糸」でしてあるからである。これを「棒」のようなもので連結したらどうなるか。

これ以上は推理願うか作って確認いただきたい。なるほどと思われるはずである。
「連理返り」を製作する
「連理返り」は、比較的構造が簡単である。自分流の「連理返り」が作りやすい。 製作する項目は、@人形、A引合棒、B鋼球の大きさと数、C階段である。
人形の製作
 人形には仕掛けがないので自由に設計できる。しかし、「機功図彙」にも書いてあるが「軽く作ること」に注意を払う。

 左の図は、「機功図彙」に記載されている図及び寸法である。市販の材料の寸法等を参考に寸法を決める。

 人形製作用の治具を製作した。引合棒との取付け軸が地面と水平になるように注意をはらう。

 人形の構造図はこちら

 重量は、人形本体で5g、着物などをつけた総重量は7gとなった。

 人形と引合棒の完成図はこちら
 「重り」を水銀から鋼球に変えたので、液が漏れるという心配が無く、自由に発想できる。 とりあえず、棒を使って、中を鋼球が動くようにした。

 引合筒の設計では、AとBの寸法設定に注意が必要である。Aは人形に取付けた際に、地面に当たらないように引合棒が回転する寸法にする。Bは、飛び越す人形が下の人形に当たらないような寸法にする。

 引合棒の構造はこちら

 引合棒の重さは、鋼球を含まない状態で10gになった。

 人形と引合棒の完成図はこちら

鋼球の大きさと数の決定
 人形と引合棒の重量がわかると計算式より鋼球の大きさ、重心位置を求めることが出来る。

 鋼球の大きさや数、重心位置を先に入力して、人形の重さや引合棒の重さ、人形の取付け距離などを仮定し、それを目標値として製作する方法もある。

 回転モーメントの計算式は簡単だが、人形が回転する際の重心位置を自動計算するには少し2次関数の知識を必要とする。
階段の製作
 「機功図彙」では、格納箱が階段になるようになっているが、本体が完成した後で階段兼格納箱を作ることにして、ここでは2段の階段を作る。

 上、下とも分離しており、階段の長さの調整は2段目が落ちない範囲で、フリーに行える。

製作後記
 階段をおりてゆく「連理返り」を見ていると「うまく動くなあ・・・」と思う自分と、「うまく動いてくれよ・・・」と心の中で念じている自分がいること、を発見するであろう。

 これまで書かなかったような現象も出てくる筈である。何故そのようなことが起こるのだろうと原因を考え、自分流の「連理返り」を完成させて欲しい。
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